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<被害事例2 CO2排出権取引>

CO2の排出権取引にまつわる投資詐欺被害が多発しております
 

1 CO2の排出権取引の概要

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 CO2の排出権取引の排出権取引は、国家や企業がCO2(温室効果ガス)の排出枠を定め、その排出枠内で十分基準を守り、枠に余りが生じた国や企業と排出枠を超えてCO2を排出してしまった国や企業との間で取引する制度のことをいいます。

 

 また、「排出権取引」、「排出枠取引」などともいわれています。

 

2 排出権取引の成立経緯

 この排出権取引は、平成9年(1997年)12月に京都市で開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)に参加した世界各国の 関係者によって協議され、CO2の削減を先進国の削減率を平成2年(1990年)を基準として各国別に定め、55か国以上の国が批准することを要件とされました。この議決には84か国が署名し、共同で約束期間内に目標値を達成することが定められました(これが定められた条約が「京都議定書」といわれています。)。
 この排出権取引は、排出枠が余った国や企業が、排出枠を超えて排出してしまった国や企業に排出枠を売却する取引制度です。これはアメリカが推進した制度ですが、言い出しっぺのアメリカは、署名をしたものの途中から離脱し、批准しませんでした。
 
 しかし、その制度自体は、その後も多くの国々に支持され、京都議定書は、署名した国も含め、172か国で支持され締結されました。
 
 この排出権取引に目をつけた欧米では、その取引所をそれぞれ設置し、シカゴ気候取引所や欧州気候取引所などで取引が行われています。日本国内に取引所はありませんが、世界全体での排出取引の市場規模は、急激な拡大を見せており、今後も拡大は続くと予想されています。
 

3 日本では排出権取引が悪用されている

 ただ、その仕組みが大変理解するのにむずかしく、また、日本国内には取引所がないにも関わらず、「環境に良い」「必ず儲かる。」などの誘い文句を巧みに使って投資を勧める悪徳業者が増えています。この排出権の取引は、内容がむずかしいため、専門の取引所で取り扱われていますが、日本ではそういった機関がありません。ですから、高齢者はもとより、一般投資家にとっても取引に必要な情報を得ることは困難です。しかし、その状況が巧みに利用されて、高齢者や一般投資家が被害にあっている事例が多くなってきています。
 
 この排出権取引は、かって多くの投資家からお金を集めてロコ・ロンドン金取引と同様、ハイリスクで複雑なデリバティブ取引(特定の商品の一定数量を、一定価格で、「売り」「買い」を保証するもので、先物取引に類似する取引)であるといわれています。
 
 また、以前トラブルが目立っていたロコ・ロンドン金取引の分野が平成23年(2011年)1月の商品先物取引法の施行に伴って規制強化がされたことから、これらに関係した業者がCO2排出権のCFD取引の分野に対象商品をシフトさせていることが推測されています。

 なお、ロコ・ロンドン関係では、以下のとおり関係者が、組織的詐欺または詐欺に問われ、懲役刑に処せられ、報道されました。
①平成21年組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)などに問われた関係者らに対して千葉地裁はそれぞれ懲役2年6月~5年6月の実刑判決を言い渡しました。
②平成22年組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)などに問われた関係者に対して千葉地裁は懲役9年(求刑懲役12年)の実刑判決を言い渡しました。判決では関連する事実全体では被害者が数百名いること被害額が数十億円にのぼること同人が主導的役割を担ったことなどが指摘されました。
 

4 CO2排出権取引を口実にした被害事例

 一人暮らしの80代の女性のもとに、ある業者が突然訪問してきました。 
 その業者が「地球温暖化防止のため、CO2の排出量削減が求められており、今後CO2の排出権が高値で取引される。絶対に儲かる。元本は必ず戻る。すぐ倍になる騙しの手口です。)ので、少し投資をしてみませんか。」と巧みに勧誘してきました。
 
 その女性は、内容を理解しないまま契約をし、120万円振り込んでしまいました。後日業者から、取引報告書が届き、元本割れしていることがわかりました。その女性は、元本割れリスク(損失の危険性)について説明されていませんでした(業者達がリスクを伝えたら、誰も契約して貰えませんから、リスクを分かるように説明するはずがありません。)。
 
 その後「追証が必要になった」と連絡があり、お金を支払ったため、お金が全てなくなってしましました。
 その女性は投資の経験は全くなく、「こんなことになるとは思わなかった。」などといった例もあるようです。
 
 とくに、高齢者が狙われやすく(言われたことを信じやすい人が多く、騙されやすい人が多いからです。)、訪問を受け、損失が生ずるリスクがあることについて説明がないまま契約し、多額の被害を受けてトラブルになったり、訪問者に親切にされて嬉しくなり契約してしまう例が多く生じています。

【説明】

一般の方々が、CO2の取引の内容や市場の変動を確認することは、非常に困難です。その上、支払う金額が高額で、将来のために蓄えていた財産のほとんどを失ってしまったケースもかなり多くみられます。
上記のようにロコ・ロンドン金取引を行っていた悪徳業者が、社会から批判を受け、また、民事事件のみならず、刑事事件でも追及されることを避けて、CO2取引に方向転換している可能性が多分にあります。
このような業者は、その事務所がどこにあるか、担当責任者が誰かもよくわからず、追及しようにも追及できず、連絡不能になったり、実態を確認することができないケースも多くみられます。
 

5 アドバイス(注意点)

(1) 内容が分からない儲け話を信じて、契約してはなりません。
 CO2排出権の取引は、かなり複雑ですから、仕組みを理解できる人は、ほとんどいなはずです。ですから一般の消費者は、このように危険(ハイリスク)な取引には絶対に手を出さないことです。
 
(2) 投資話をされて勧誘された場合、強く断らないと、その後は何度も勧誘され、挙げ句の果ては大損をします。
 最初、取引をするつもりがなくても、業者の話を聞いてしまうと、何度も勧誘されたり、一人暮らしの高齢者は、優しい言葉をかけられたりして親切にされると、つい信用してしまいます。
 
 そして、相手のペースに乗せられて契約させられ、あるいは、高額なお金を出してしまいますので、最初から、勇気を出して、話しを聞くつもりがないことをハッキリと告げ、電話を切ったり、訪問者には家から出て行くよう強い態度を取ることが大切です。また、至急、ご家族や友人、近所の人に手伝って貰い、相手のペースにはまらないようにしてください。
 
(3) できるだけ早く、クーリング・オフの手続をとること
 CO2排出権の勧誘を受けて、不本意な契約をしてしまったと気付いたら、特定商取引法等によるクーリング・オフ(Cooling-off)が可能な場合もあります。
 クーリング・オフのできる期間は非常に短く、クーリング・オフについては書面による通知等の手続も必要となりますので、できるだけ早く消費生活センター・国民生活センターや弁護士と相談するとよいでしょう。

※このような被害事例について、当事務所では相談をお受けしております。
 ご本人様、ご家族様のご相談もお受けしておりますので、まずはご相談ください。
 また、当事務所は、ご相談を受けた際、刑事事件(告訴、被害届の提出・受理)や民事事件(損害賠償請求等における勝訴)について、相当程度の可能性があると判断した場合は、受任させていただいています。
 その中には、すでに警視庁本庁で告訴を受理した事件もあります。
以上


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